帰るというにはまだ遠い

A.B.C-Zがすきです、長くなるようなことはここで書きます、だいたい暑苦しい

メモ

こっちは完全に演技とかシーンとか、ここ好きとかなんとか、ぶつぶつ書き出したやつです

脈絡などないし、ネタバレしかないから注意だよ





君にだって大事な人が、心配してくれる人がいるだろうと、言葉詰まりながらそう言った刑事さんは残酷だったな

それまでのやりとりできっといないと悟っている、本当の意味でだれもそんな人がいない、そんな言葉を吐く刑事さん自身だってハリーに寄り添えないと分かっていて言っていたんだろうなぁ

ハリーは縋るように理解者を求めて、刑事さんに心開いていくけど、刑事さんは最初から最後までどこまでも線を引いていた印象を受けた

仕事だからね、しょうがないよね
でも嘘ではなかったと思う
ただいろんな顔をもっているだけ
刑事としての顔、夫としての顔、親としての顔、子供だった頃の顔…カップを交わす瞬間は確かに友人のような親のような、ハリーにとってのなにかになれていたんだと思う
そのひと時が果たしてハリーにとって良かったのか悪かったのかは分からないけど

命を救いたい、平穏を守りたい刑事さんと、カード目録を、自身のアイデンティティを守りたかったハリーと、どこまでも交わらない平行線
ハリーの最後の言い分…更新出来ない書き換えられないカードも権利を持たない自分自身も意味がないと言うアレは、もうただの言い訳のようにしか聞こえなくて、はやく消えてしまいたかったのかな

戸塚くんと勝村さんの演技が素晴らしくて、コミカルなやりとりには何度もくすりと笑ってしまった
笑いをとるシーンが多かったものだから、これって実はコメディ?と途中から信じたくなったし、ハグをして肩を抱き合いながら図書館を出ていくふたりを見たときは、ここで終わるのだとおもった
ベターなハッピーエンドか、なるほどと

でも、ハリーはたぶん戻ってきた刑事さんに銃を突きつけられた瞬間から、腹を決めたのかなぁ
いや腹はとっくに決まっていたけど、最後の引き金になってしまったというか、一線を超えてしまったというか
なんどもなんども傷ついたハリーにとって最後の希望だった刑事さんは、あそこで選択を失敗してしまった
もう心を開くことのないハリーが刑事さんとした握手は別れの握手に見えたし、渡した目録と本は餞別のようなもの
肩を組み図書館から一度出たのは、ハリーなりの刑事さんへの誠意とか、情とか、そんなものにみえた

お姉さんへの電話の時点では、まだほんとうにさよならをする気があったのかなかったのか微妙だなぁ、なかったようにみえる
刑事さんとのやりとりで、なんとなく恋しくなってしまった彼の家族への甘えたい部分なのかなぁと
いざ話すと苛立ってしまったり、素直になれなかったり、でもきっとお姉さんのことはやっぱり大事だし心配してたのかなって

あと出ていった刑事さんをそわそわ落ち着きなく待つ様子や、電話の受話器を戻すとこなんかみてると、まだ刑事さんへの期待を捨ててないように思えた

ハリーが再びひとりきりで図書館に戻ってきてからはあっという間だった
ラストに向かう最後の数分間はメモをとることができなかった
畳み掛けるように変わっていく状況についてくのが精一杯で、心かき乱されて、すごく息苦しくて、戸塚くんの声と表情にすべてがもっていかれた、目を逸らしちゃいけない、瞬きも惜しくて、泣きながらそれでも見た

ハリーが撃たれてから、刑事さんの、ハリーに心配そうに呼びかける台詞と外にいる人たちに建物から離れろと指示する言葉が交互に聞こえたとき、絶望した
なんでだか、捨てられたと思ってしまった
それはまたなんか違うような気がするんだけど、でもいま見つかる言葉がこれしかない
ハリーは最期、あの声聞こえてたのかな…なにを思ってたんだろう

観劇後に、置き去りになった彼のコリー犬はどうなってしまうんだろうってぼんやり考えてた

戸塚くんの狂気じみた長ゼリフはもともと好きで、今回も迫力がすごかったけど、でもそれ以上に良かったのは、ふとしたときにやわっこくなるハリーのイノセントな部分…大事なコーヒーカップを持ってきたときの控えめに自慢げなきらりと瞬く表情や、刑事さんの持ってきたコーヒーを飲んだときにほっとしてからぱあっと明るくなる表情
そういうシーンの演技がとてもきれいだった、すごく好き

こういう無防備になる瞬間がたまらなくハリーを愛しくさせていた
だから余計に彼の心が追い詰められていくシーンはこわくてかなしくて、辛かった

冒頭で言葉なくただ静かに爆弾を設置していくシーンは祈りのように美しかった
祈りといえば、お母さんの命日には教会に行くと言い祈る仕草をしてみせるけど、戸塚くんはああいう儀礼的な動作が絵になる

あとは本の記憶を語るシーンが、あれはハリーというよりもすごく戸塚くん自身を感じて印象的だったし、共感できることばかりで胸が締め付けられた
読みかけのまま本を胸に抱いて眠ることや、たった一駅をつなぐ時間でさえ読みたくて持ち歩いてしまう特別な一冊の存在

紙媒体であるがゆえに享受できる触覚的な記憶
本は生き物であり、芸術作品であり、記録と歴史
なんと美しい言葉と感覚だ

この物語では本だったけど、そういう存在ってたくさんあると思う
触るだけで思い出に直接リンクできるなにか、自分と何かを繋ぎ止める大切なもの

あとインスタントやハンバーガーみたいな本って、笑えるけど笑えない例え方好き
これは脚本もともとからなのかな、素晴らしいセンスだわ

映画のように、毎夜レイトショーに通うことが出来ない、DVDのように自分の部屋で繰り返し好きな時に再生することもできない
いまこのとき、あの舞台上でしか見れないことが本当に惜しい
もっとたくさんの人が見れる機会があればいいのに!
もしかしたらまたいつか再演されることはあるかもしれないけど、でも、戸塚くんと勝村さんが再び揃うことはきっとない
勿体無い

でもわたしにとっては、いま見れて本当に良かった作品だ
18歳のわたしが見ても、30歳のわたしが見ても、きっと違う感想を抱いたと思う
A.B.C-Zを、戸塚くんを好きにならなかったら存在さえ知らないままだったはずの作品だ
今だから意味がある
きっとこの先何度も思い出しては悩む羽目になるだろうけど、ハリーのことを思うたびに胸が抉られるだろうけど、きっと一生かけて悩めるものにこうして出会えるのって幸せなこと
作品そのものが呪いのようだと思うけど、わたしには必要
広告を非表示にする